認知症は高齢化社会の日本で大きな社会問題の1つです。
若い方は関係ないと思っているかもしれませんが、若年性認知症の平均発症年齢は51歳くらいです。
30代で発症するケースもあります。
画像出典:TEDx Talks
画像はアルツハイマー患者の脳細胞(アミロイドプラークが見られる)
認知症は、回復はおろか症状が進行して障害が重度化するケースが少なくありません。
最終的には言葉を話すことも、身体を動かすこともできなくなる病気です。
認知症に対する治療薬も出てきていますが、目に見えて改善するものとは言えません。
やはり現時点では治療よりも、認知症にならないように予防することが大切です。
ではどうやって予防するのか?
めんどうなことはできないし、やりたくないと思うのが人間です。
なるべく簡単に実践できるほうがいいですよね。
私達が毎日必ずしていること。
例えば食事。
認知症を予防できる食事があれば取り入れてみたくなりませんか?
そこで調べてみると、Neal D. Barnard博士(アメリカ)が最新の研究結果を交えながら、食品が脳に与える驚異的な影響に関して紹介していました。
これは「食べ物から認知症予防にアプローチする」というものです。
ここでポイントになるのが、
1.飽和脂肪、トランス脂肪をへらす
2.ビタミンEをとる
3.運動をする
の3つです。
1.認知症予防には飽和脂肪、トランス脂肪をへらす
認知症予防法の1つ目は飽和脂肪、トランス脂肪を含んだ食品をあまり食べないようにすることです。
飽和脂肪は肉や乳製品、トランス脂肪はフライドポテトやフライドチキン、ドーナツなどのファストフード、菓子パン、マーガリンなどに多く含まれます。
簡単に言えば脂っこいものを控えるということですね。
以下に詳しい説明をのせておきましたので興味のある方は目を通してください。
面倒な人は「2.ビタミンEをとる」に進んでください。
1)アルツハイマー病と飽和脂肪についての研究
シカゴ・ヘルス&エイジングプロジェクトでシカゴ市民の食事を調査した。
飽和脂肪を1日に13g程度摂取していた人達と25g程度摂取していた人達を比べると、25g程度摂取していた人達の方がアルツハイマー病になるリスクが3倍以上だった。
トランス脂肪についても調査した場合にも同様の結果になった。
2)軽度認知障害と飽和脂肪についての研究
平均年齢50歳の成人1341人についてその後21年間の追跡調査を実施した。
軽度認知症を発症した割合を調べた結果、やはり飽和脂肪をたくさんとっていた人達の方がリスクが高いことがわかった。
3)アルツハイマー病発症になりやすいAPOEε4対立遺伝子を持っている人達の研究
アルツハイマー病発症になりやすいAPOEε4対立遺伝子を持っている人たちについても、飽和脂肪をたくさん摂っているほうが発症リスクが高くなった。
仮にアルツハイマーになる可能性が高い遺伝子を持っていたとしても、飽和脂肪の摂取を控えれば発症するリスクを80%低くなることがわかった。
4)飽和脂肪、トランス脂肪を多く含む食品
白い脂肪が多い肉、ハム・ソーセージなどの加工肉、ハンバーガー、カップ麺などのファーストフードなどにたくさん含まれています。
2.ビタミンEをとる
認知症予防法の2つ目はビタミンEをとることです。
最近の研究ではフリーラジカルが脳に悪影響を及ぼすことがわかってきました。
フリーラジカルは血中に存在し、脳だけでなく、身体の老化やガンなど人間のあらゆる細胞に影響する物質です。代表的なものが活性酸素です。
フリーラジカルが脳に侵入すると、火花を散らすよう細胞間を行き交います。
その火花を消化するのが「ビタミンE」です。
ざっくり言うとビタミンEをとればフリーラジカルの悪さを抑えられるということです。
ビタミンEが豊富に含まれる食べ物にはほうれん草、マンゴー、アボカドなどありますが、簡単にとれるのがナッツ類です。
それ以外でもブルーベリー、トマトなどに含まれる抗酸化物質にもビタミンEと同じような働きがありますので積極的に食べましょう。
ビタミンEについて興味のある方は以下の詳しい説明を読んでください。
面倒な方は「3.運動をする」に進んでください。
1)アルツハイマー病と鉄分の関係
以前は鉄分を多くとることが大切だと思われていました。
しかし必要以上の鉄分は体の中で酸化しフリーラジカルを作り、それが脳に侵入し害をおよぼすことがわかってきました。
そしてフリーラジカルを消失させるのが抗酸化物質であるビタミンEです。
【鉄分を多くとりすぎる原因】
・鋳鉄製のフライパン
・銅製の水道管
・肉のレバー
・サプリメント
2)ビタミンEを多く含む食品
殆どのビタミンサプリメントには、必要な8種類のビタミンEのうち1種類しか入っていません。
そして1種類のビタミンEばかり摂取していると、他のビタミンEの吸収を妨げてしまいます。
やはり食品から自然に摂取する必要があります。
ただし摂りすぎはダメで、ナッツ類なら1日28g(ビタミンEが5mmg)程度が良いそうです。
3)色の鮮やかな食品には抗酸化物質がたくさん含まれる
記憶障害を患う平均年齢78歳のグループを対象に、1日500mlのぶどうジュースを朝と夜2回に分けて毎日飲んでもらうという研究が行われました。
すると・・・
3か月後には「記憶力」「思い出記憶」が改善していました。
同様の研究をブルーベリージュースでも行ったところ、やはり記憶力、思い出記憶の改善が見られました。
これはぶどうやブルーベリーに含まれる紫色の色素、アントシアニンの効果でした。
アントシアニンはビタミンEと同じように抗酸化作用を持っているからです。
人間の脳はにんじんのオレンジ色やトマトの赤い色、ぶどうの紫色などの鮮やかな色彩を美しいと判断します。
これは生まれながらに自分の身体に良いベータカロチン、リコピン、アントシアニンを見分ける力があるからです!
3.運動をする
認知症予防法の3つ目は運動をすることです。
運動といっても難しいものではありません。
1回40分間のウォーキングを週に3回するだけです。
なるべく40分がいいですが、20分を2回に分けてもOKです。
でも一つだけ注意点があって、「ダラダラ歩かずに少し早歩きする」のがポイントです。
早歩きの散歩はダイエット効果もあるのでぜひ取り入れてくださいね♪
詳しい内容は以下に説明しています。
面倒な方は「4.まとめ」に進んでください。
1)イリノイ大学での運動と海馬の研究
成人120名を対象に「3回/週」早足(はやあし)で散歩を行ってもらい、調査開始時とその後に脳の海馬の大きさを測定する研究が行われました。
※海馬は脳の記憶を司るところです
通常、海馬は年齢を重ねるにしたがって小さくなります。
ところが早足で散歩をしていた人達の海馬は縮小が止まり、逆に徐々に大きくなったのです!
記憶テストの結果も目に見えて改善しました。
早足のやり方は下の通りです。
2)イリノイ大学が提案する運動
① 10分間のウォーキングを週に3回行う
② 次の週は15分、さらに次の週は20分と、5分ずつのばしていく
③ 最終的には40分のウォーキングを週に3回行う
週に3回の運動で脳の収縮現象が止まって、大きくなる可能性もあるなら是非取り入れたいですね。
4.認知症を予防する3つのポイントのまとめ
では認知症を予防する為の簡単な3つのことをおさらいします。
1.肉、乳製品、ファストフード、菓子パンなどを食べ過ぎない
2.ナッツ、ブルーベリー、アボカド、トマトなどビタミンE、抗酸化物質をとる
3.40分程度のウォーキングを週に3回する
人間にとって記憶とは、それまで生きてきた証、その人を形づくる大きな要素だと思います。
認知症はその大切な記憶を奪ってしまう悲しい疾患です。
健康なときには自分が病気になってしまうイメージはなかなか持てません。
でも病気になってからでは遅いのです。
今回の方法で必ずアルツハイマー病を予防できる訳ではないですが、まずは簡単に出来そうな「2」のビタミンEや抗酸化物質を意識してみてはいかがでしょうか?
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